私が帯広に来てから知り合った農家の方に、
「これから農家になりたいと考えている人にアドバイスをいただけませんか?」
と取材をしてきました。
「北海道は農業をやるにはいいところだよ。虫はいないし、涼しいし。」
「ミニトマトは、夜の気温が12~16度ぐらいまで下がらないと実をつけないんだ。本州じゃあ、夏はやってないんじゃないかな。」
という、十勝平野の北部にある士幌町で水耕栽培のミニトマトハウスを営む嵐さんにお話しを聞いてきました。
見た目も生き様もカッコイイ嵐さん(2009年3月ごろ)
嵐さんへの質問は以下。
- ミニトマト農家の面白さは?
- 農業をやっていて一番つらいことは?
- 新規に農業を始める人にミニトマトはお勧めの作物ですか?
- 農業を上手にやるためのコツはありますか?
- 大きな声では言えない農業の旨みはありますか?
- 大きな声では言えない農業の辛いところはありますか?
- 「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
ミニトマト農家の面白さは?
ミニトマトに限らずだけど、生き物を育てているっていうところかな。
自分で作るから面白いっていうのもあるし。
子供みたいなもん。手を抜けば病気になることもあるし。
生き物だから、毎日変化してるんだ。
かといって、今を見てたらだめ。
2カ月ぐらい先を見れないとできないんだよ。
まあ、最初は一週間先とか、だんだんと先がわかるようになってくるんだ。
2009年5月のミニトマトハウス
花が出てから収穫まで、長い時は2カ月ある。
だから、花が咲いたら2カ月先の状態を考えて手入れしないといけない。
脇芽をとった影響が出てくるのにもやっぱり時間がかかるし。(風の補足:ミニトマトは、脇芽を取るタイミングで木の成長をメンテナンスします)
トマトの世話をする嵐さん(2009年5月ごろ)
ミニトマトっていうのは、生殖(実をならせること)と木の成長との両方を管理しないといけない作物なんだ。
木も太けりゃいいってもんじゃなくて。
葉物なんかは、葉っぱが大きくなればそれを食べるだけだけど、ミニトマトは木が大きくなりすぎると、実がならなくなるんだ。
根から吸い上げる栄養はきまってるから、それが木と実とにバランスよくいかないとだめ。
だから、木が太くなりすぎるとそれを維持するのに栄養分を使うようになるから、実がならなくなるというわけ。
始めたばかりのころ(二十数年前)は、ハウス一棟みんな太くなりすぎて実がならなかったこともあるよ。
農業をやっていて一番つらいことは?
やっぱり、採れないときだな。
お金よりも、採れないときのほうがつらい。
2009年5月のミニトマト
新規に農業を始める人にミニトマトはお薦めの作物ですか?
お勧めってこともないけど。
うまくいくかどうかは、何でもそうだけど、やる気次第。努力次第。
お金は、あんまりかからないかな。
ハウスも農協が貸してくれているし。
酪農なんかは、最初に何千万も必要になるんだろうけど、今は昔みたいに何千万も借金してやろうって人はいないだろうね。
農業を上手にやるためのコツはありますか?
勉強かな。
毎年、毎日勉強。
大きな声では言えない農業の旨みはありますか?
今はないなぁ。
昔はあったと思うけど。
大きな声では言えない農業の辛いところはありますか?
それも特にないかなぁ。
しいて言えば、政治に振り回されてしまうところかな。
「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
そういうのはないかな。
結局、やる気と努力だね。
努力の成果のミニトマト(2009年6月)
空いているハウスはあるし、ここでも受け入れはできるんじゃないかな。
収穫したミニトマトは農協が全部引き取ってくれるし、自分で売りたければ売ってもいいし。
でも、やっぱり、好きでないとできないだろうね。
風より: ミニトマト大好きな嵐さんでした。嵐さんご協力ありがとうございました。