株式会社 風

先日、昔のお客さんから本当に聞いた話。
「長野の上田の駅近くにみすず飴本舗という店があって、そこのジャムは結構好きだったんですが、瓶がでかいのでたいていカビを生やしてさよならでした。もったいない。」

「もったいない」は、価値ある物を失う時に口をついて出る言葉です。「まだ使える(価値がある)のに捨てちゃうの?もったいない。」と言う感じで。「もったいない」は、お客さんの購入の障壁になります。大概の人は、「もったいない」と思ったら購入を躊躇します。

日本語には「大は小を兼ねる」という言葉があって、大きい方がいいものだと思われがちです。特に、売る側の人からすると、「足りないよりも多すぎる方がお客さんにとっては良いだろう。」となっている場合が多いのではないでしょうか。
もちろん、「量が足りなくて何の役にも立たない」よりは、多い方が良いに決まってます。
お客さんにとっての価値を低い順に並べると、
「量が足りなくて何の役にも立たない(価値ゼロ)」<「多すぎてもったいない(価値の一部を失う)」<「ちょうど良い(価値をすべて享受できる)」
となります。

しかしながら、この問題を解決するのはとても簡単です。
小さいサイズで売ればいいんです。

たくさん欲しい人は、小さいものをたくさん買えばいいんです。「小は大を兼ねる」です。
もちろん、大きいサイズの方が割安なのであれば、喜ぶお客さんもいらっしゃるでしょう。なので、既に大きいサイズを売っているのであれば、大きい瓶と小さい瓶の両方を売ればいいのです。

ジャムのように賞味期限の短いものもそうですが、「初めて買うもの」はえてして小さい方を選びます。小さいもの(=価格が低いもの)の方が失敗した時の損害が小さいからです。それを食べて本当においしいと思えば、次は大瓶を買ってくれるかも知れませんし、大瓶ではサイズが大き過ぎれば、小瓶を再購入してくれるでしょう。(今では別段珍しくもないですが、買った人にはFAXで注文できる「申込用紙」を商品と一緒に渡すのは必須です)

冒頭のジャムのような、お客さんが「ここでしか買えないから買っていきたい」と思うような商品で、しかも再購入したいと思うような良い商品であれば殊更、小さい瓶にして購入障壁を下げてあげると売上はきっと増えます。(お土産物として配るのにも便利ですしね)