株式会社 風

ブランドとは?

ブランドとは、「固有の何かを表す言葉とそれに関連付けられた情報が、人々の心の中で組み合わさり、積み重なったもの」です。同じブランドでも、人によって積み重ね方が違うので、当然そのブランドのイメージや価値は異なります。また、一般にブランドというと、良いイメージがありますが、良いブランドばかりがブランドではありません。

例えば、トヨタ自動車は私にとっては良いブランドではありません。なぜかというと、10年ぐらい前、トヨタ自動車の資材の人と一瞬だけ仕事をしたことがあるのですが、その人があまりに高飛車だったので、そのときからトヨタが大嫌いになりました。私はそれ以来、何回か車は買っていますが、一度もトヨタ車は買っていませんし、選択肢にすら入ったことはありません。これが一消費者の私にとってのトヨタブランドです。

ブランド価値とは?

ブランド価値とは、そのブランドに関連する情報とブランドそのものが人々の心の中に作り上げた信頼のことです。「ブランドに関する情報」とは、先ほどのトヨタの資材の人のように販売目的で発信したわけではない情報や、マスコミのような第3者が発信した情報も含まれますので、注意が必要です。

ちなみに、私はホンダの車が好きです。なぜかと言うと、車の良さもさることながら、ホンダカーズ山梨東吉田店に勤める友人がいることと、そのディーラーに様々なアクシデントの際に非常にお世話になったからです。「ホンダカーズ山梨東吉田店」のブランド価値は、私にとっては非常に高く、北海道に住みながらも、このお店から車を買いたいと思うぐらいです。車への信頼、友人への信頼、ディーラーのサービスへの信頼、が私にとってのホンダブランドの価値そのものです。

商品が良いものであれば、何回か購入したり、または長期間使用したりすることにより信頼関係が生まれ、ユーザーにとってのブランドの価値は自然と高まっていきます。そして、顧客はそのブランドのファンになっていきます。

ブームとブランド

ブームとは、商品そのものよりも、商品に関連した情報の方が極端に多く発信され、それが人々のウォンツを刺激した場合に起こる、と私は考えています。ブームが起こると、急激に市場が拡大し、そしてピークを過ぎると急激にしぼんでいきます。

ブームも商品および商品関連情報により作られるものなので、本質的にはブランドと同じですが、蓄えられて価値が高まっていくブランドに対して、ブームは流れて行ってしまい、さらに悪いことに「流れ去ったこと」が人の記憶に残りブランド化するために復活が困難です。
つまり、ブーム後には、商品のブランドに「ブーム品」という情報が付加されてしまうのです。

商品ライフサイクル全体を考えた時に、ブームを利用すれば短期間で高収益をあげられる、と言うことであれば、復活が困難でもブームを狙いに行く価値はあるようにも思えます。
しかしながら、私の考えでは、ブームの一番の特徴は、「タイミングの見極めの難しさ」ではないかと思っています。ブームは、立ち上がり時はあまりに急激に市場が拡大していくので品切れが起こります。そして、衰退期にはあまりに急激に衰退していくので、生産過剰が起こります。後で過剰になった在庫を立ち上がり時の品不足に振り向けることはできないので、結局は不良在庫を大量に抱え込むのが落ちです。

「どこまで急速に市場が拡大すれば人々にブームと認識されるのか」という閾地の判断は難しいところですが、なるべくブームにならないように少しずつブランド価値を積み上げて、長期間安定して販売していきたいものです。

認証とブランド

ブランドは認証によって作られることもあります。
一昔前に流行った、ISO9001やISO14001なども企業がブランド価値を高めるためにこぞって利用していました。また、松坂牛や神戸牛も信頼度の高いブランドと言っていいと思います。

しかしながら、認証はバランスが難しいです。
どういうことかと言うと、認証を取得する人が少なければ認知度が上がらないので、ブランド価値もなかなか高まりませんし、逆に認証取得者を増やそうと思うと、認証を取るための条件を緩くする必要があるので、今度は認証自体の価値が下がります。そして、このバランスが後者の方に崩れると、場合によってはブランド価値はマイナスになります。
たとえば「***をちょっとでも使っていれば、***野菜と言ってよい」のような認証制度だと、「***野菜と言うのは形だけらしい」という噂が流れ、マイナスイメージのブランドが作られてしまいます。

認証は、既にある市場で差別化を図るために利用するには有効な手段だと思いますが、市場を拡大するために利用すると、条件を緩くせざるを得ないのでマイナスブランドを作ってしまう可能性があります。注意しましょう。

ブランド作り

ブランドは、何かの数値がある値に達したら「ブランド化成功」と言うものではありません。すべての企業や商品が世の中に生まれた瞬間から、それらはブランドであり、ブランド作りは始まっています。

そして、多くの場合、顧客とのコミュニケーションや、実際に商品を使うことによる信頼で、ブランド価値は少しずつ高まっていきます。
それ以外にも、その商品と格の高い情報とをセットにして発信したり、かっこいい(憧れられる)芸能人などをCMに使うことによって、ブランド価値を無理やり高めることもできます(場合によってはブームになります)。

ブランドは、ブランドを持つ者の利益(お金とは限りません)を拡大するために作っていくものです。そして、ブランドがもたらす利益はそのブランドに対する熱狂的なファンの数に比例します。ブランド作りはファンづくり、です。ターゲットを絞り込んで、コアなユーザーを一人ずつ増やしていきましょう。