櫻井さんは、いわゆる畑作4品のほかに、スイートコーン(1ha)、アスパラ(0.3ha)、ニンニク(少々)を生産しています。
奥の小さな木のところまで櫻井さんの畑
「農業を楽しくやりたい。」
という櫻井さんは、「農業本気塾」という「消費者と生産者をつなげること」など、を目標とした会の代表も務めています。
櫻井さん
「昨年からニンニクを始めたんですけど、一年目なのでなかなかうまくいかないです。」
「小さかったり、ハネ品が多いです。」
「ニンニクは9月末ごろ植えて、7月末ごろ収穫なんです。今は、収穫が終わったところですね。」
世の中に出回っているニンニクは、ほとんどが品種改良されているものらしいのですが、原種に近いほうが強く大きく育つのだそうです。品種改良によって、肥料や農薬が必要になってしまっているんですね。
カメラに照れる櫻井さん
櫻井さんへのおもな質問は、
- 農業の面白いところは?
- 農業をやっていて一番つらいことは?
- 新規に農業を始める人にスイートコーン、アスパラ、ニンニクはお薦めですか?
- 農業を上手にやるためのコツはありますか?
- 大きな声では言えない農業の旨みはありますか?
- 大きな声では言えない農業の辛いところはありますか?
- 「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
です。
農業の面白いところは?
自然の中でやっているってところですかね。
期待通りにはならないじゃないですか。そういうところも面白さの一つですね。
それと、「食につながっている」ってことを実感できるときですね。
マチルダという種類のジャガイモ(ガンダム世代の私はちょっと反応しそうになりました)
農業をやっていて一番つらいことは?
最近は辛いことはないですね。
風:以前はどういうところがつらかったんですか?
「ただ仕事に追われている」という時期があって、それがきつかったです。
「雨が降らないかなぁ」と良く思っていました。
雨が降ると仕事を休めるので。
風:なぜ変わったんですかね?
農業体験の方の受け入れなどで、消費者の方と直に接するようになったからですね。
消費者の方とのつながりは、やりがいになります。
売って終わりではなくて、長く付き合えるような関係を作りたいと思っているんです。
悪天候にもかかわらず出来のよい小豆
新規に農業を始める人にスイートコーン、アスパラ、ニンニクはお薦めですか?
ニンニクは良いと思いますよ。
機械はいらないし、反収 ( (1反当たりの収益) ) もいいです。
販路は自分で作らないといけないですけど。
初めて収穫したニンニク
アスパラは、収穫できるようになるまでに2年ぐらいかかるので、その間無収入というのはきついと思いますね。
でも、これ一つっていう感じでやるよりも、「多品目」栽培するのが良いと思いますよ。
農業を上手にやるためのコツはありますか?
目標を持つことですね。
それが無いとやっていけないです。
僕は「農業本気塾」の活動を成功させるのが今の目標です。
元気の良い小豆
大きな声では言えない農業の旨みはありますか?
旨みっていうのは特にないですけど、ジャガイモは新ジャガより去年のイモの方がおいしいですよ。
時間がたつと、ジャガイモの中のでんぷんが糖に変わるんです。
おいしい去年のイモを袋に詰めている櫻井さん
大きな声では言えない農業の辛いところはありますか?
自然からの影響を受けるので、安定していないところですかね。
それと、農業に関しては、色々な情報があるんですけど、自分の畑に合うかどうかはやってみないと分かりません。
隣のマネをしてもうまくいかないです。
それに、何か試してみても、その反応もすぐに出ないです。1年かかりますから。
櫻井さんのお母さんが育てているイタリアントマト
「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
新規に就農される方と言うのは、これまで農業以外のことをやってきていて、「農業を違う視点から見れる」と言うのはある意味、僕たちよりも恵まれていると思います。
僕は、農業を僕たちとは違った視点から見ている人と話をすることは、農業をやる上で、とても大切だと思っているんです。
でも、勉強はちゃんとした方が良いです。
櫻井さんの家の農業機械達
風より:おいしい去年のジャガイモをたくさんありがとうございました!「農業本気塾」頑張ってください。十勝の農業に新しい風が吹くことを期待しています。
帯広市太平町で「アスパラ」と「ユリ根」と「花ユリ」農家を営む山西さん
です。いずれも「ユリ科」の植物なんだそうです。
私が畑に着いた時には、花ユリ畑の草取り中でした。
やさしく穏やかな口調で、
「綿帽子を飛ばさないように・・・」
と、囁きながら草を抜いていました。
(雑草の綿毛が飛んでしまうと、またそこから雑草が生えてくるからです)
「この辺では珍しい作物を作っているので、地域の中ではちょっと浮いちゃってるかもしれません」
という山西さんへのおもな質問は、
- 農業の面白いところは?
- 農業をやっていて一番つらいことは?
- 新規に農業を始める人にユリ根、アスパラ、花ユリはお勧めの作物ですか?
- 農業を上手にやるためのコツはありますか?
- 大きな声では言えない農業の旨みはありますか?
- 大きな声では言えない農業の辛いところはありますか?
- 「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
です。
農業の面白いところは?
自分の手で育て、収穫する過程ですかねぇ。
個人で対面販売する時なんかも、売れた時には嬉しいですね。
それと、
翌年も買ってくれた時なんかは、「おいしいと思ってくれたんだなぁ」と、また嬉しくなりますね。違う理由で買っているのかもしれませんが・・・。⇒ちょっとネガティブ
農業をやっていて一番つらいことは?
出荷できなかった作物の廃棄作業ですね。
風や霜でアスパラがやられちゃったときなんか、売り物にならないので芝刈り機でガーッと刈ることがあるんですけど、これが精神的にかなりキツイっす。
花ユリなんかは、お盆の前後で価格が半分以下に落ちるので、値段を見て一喜一憂なんてこともありますかね。
新規に農業を始める人にユリ根、アスパラ、花ユリはお薦めの作物ですか?
ユリ根は薦められませんねぇ。
ゼロから始めると、売上が上がるまでに5年ぐらいかかりますから。
何年目かの種を誰かにもらえば、2年ぐらいで売り上げが出るようにはできるんですが。
2009年6月の百合根畑
アスパラは、初期投資が結構かかるんですよ。
仲間の間でも、そう言われています。たい肥を大量に使うので、なんだかんだで1000万円ぐらいはかかるんじゃないのかなぁ。
それに、アスパラも売れるものが採れるまでには、露地物だと3年ぐらいかかりますね。
2009年5月のアスパラ畑
花ユリは、年々値段が下がってます。
今は、ピーク時の1/3以下ですね。
2009年7月の花ユリ畑
花ユリに限らず、多くの作物は値段は下がってきています。
好きじゃないとやっていけないと思いますね。
農業を上手にやるためのコツはありますか?
日記をつけること。
でないと、毎年同じ失敗をします。進歩しません。農業に限った話ではないですが。
毎日、作業や天候、どこで何を売ったとか、そういう記録を残さないといけないですね。
場合によっては、畑の中に何か書いたものを立てておいたりすることもあります。
大きな声では言えない農業の旨みはありますか?
大規模畑作は、高収入ですねぇ。補助金のおかげなんですけど。
畑作4品(小麦、でんぷん用馬鈴薯、豆類、ビート)は、よく「下駄が付いている」と言われています。2年前からの実績で補助が出るんですよ。その補助金プラス今年の売上が収入になるので、高収入になるんです。
あ、アスパラやユリ根が一番おいしい時に好きなだけ食べられる、というのは旨みですか。
そういう時期は、売ると喜ばれるので、お返しを貰ったりすることもあるんですが、それも旨みと言えば旨みでしょうか。
アスパラ収穫中の山西さんのお父さん
今年は、茹でたアスパラを冷凍して、一年中アスパラを(我が家で)食べる、なんてことをやってます。そのために安い冷凍庫も買いました。
大きな声では言えない農業の辛いところはありますか?
よく3Kなんていいますが、そのうちの一つ、「結婚できない」です。
花火大会のチケットを2枚苦労して手に入れたけど、家族の誰かと行くしかないです。
風:女性の農業経営者ってあまりいないんですか?
少ないですね。
大学の時の同級生の女の子は大体、嫁ぐか、酪農家のヘルパーなんかをやっています。
新得にレディースファームスクールなんてものもありますが。
「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
身近な農家さんのところで、「ボラバイト」なんかで農業に触れておくといいと思います。
補足:「ボラバイト」とは、格安のアルバイトのこと
それと、
夢を持つことが大切です。
夢がないと進歩しないので、失敗します。
農家になりたいという人がうちに来ても、今は受け入れは厳しいかもしれませんねぇ・・・。
風より:山西さん、ありがとうございました。良いご縁があることをお祈りしております。
2009年GW明けに北海道全域に強い霜が降りました。
この霜でアスパラは壊滅したそうです。
1週間は農協に出荷できるアスパラは採れません。
私の知り合いのアスパラ農家(アスパラ以外の作物も育てていますが)では、
「数100万円の損害」
だそうです。
「今年はもうだめだぁ」
「今年こそはって思ってたんだけど」
「これで3年連続なんですよ」
農家の方も弱気になっていました。
余談ですが、霜が降りた2日後に私は農家の方を訪ねました。
目的はアスパラ収穫体験だったのですが、思いもかけず落ち込んだ姿を見ることになってしまいました。
霜にやられても多くのアスパラはちゃんと立っています。私はそのアスパラを収穫させてもらい、そしていただきました。ありがとうございました。
余談は続きます。
いただいたアスパラは帰ったらすぐに茹でてマヨネーズをつけて食べました。
それが、「猛烈にうまい!」
農家の方の落ち込みとは裏腹に、感動的なおいしさでした。採れたてのアスパラはおいしいとは聞いていましたが、これ程とは。
さて、その数日後、強風が吹き、またしてもアスパラが被害に会いました。
さらに、数日は復活が遅れます。
この自然の暴挙を農家はどう乗り切るのか?打ち勝てるのか?
そして、強風から約一ヶ月後、再度農家を訪れると、
「今年(2009年)のアスパラは、霜と風で3割だめになった」
「農家なんて利益3割もないから、赤字です」
だそうです。
農家の方曰く、
「あきらめるしかないんです」
「自分ところだけなら、なんで?って思うけど、みんな同じだから、仕方ないんです」
「農家は忍耐と辛抱です」
意外とさっぱりしていました。
自然の猛威にやられてもやられても耐え忍ぶ忍耐力が農家には必要です。
もちろん、防風ネットを張ったり、霜対策の肥料なども使ったりするそうですが、歯が立たないときは忍耐農法。