株式会社 風

  • 商品自身が纏っている情報を変える
  • タイミングを変える
  • 場所を変える
  • 顧客を絞り込む
  • 用途を絞り込む
  • 使い方を変える

の後半の3つ。

顧客を絞り込む

同じものでも、顧客を目一杯絞り込んで専用化することで、高く売ることができます。
「商品の性質」と「絞り込んだ顧客」には一貫性が必須です。

たとえば、

  • 最近管理職に昇進したけど、ストレスで鬱になりかけているIT企業勤務の方
  • 通勤で毎日駅まで15分以上歩いているどこから見てもメタボの男性
  • 週3日以上外食をしている自称セレブ主婦
  • 上司の顔を見るのが嫌で毎朝会社を休もうかどうしようか悩んでいる20代OL
  • 安全な野菜を食べたいけど、有機野菜の表示は信用できないと思っている50代男性

などなど。
いくらでも思いつきます。

絞り込んだ分見込顧客数は少なくなりますが、「自分のこと?」と思ってくれる人を動かす力は格段にアップします。

用途を絞り込む

同じものでも、用途を目一杯絞り込むことで、高く売ることができます。

たとえば、

  • 毎日駅の駐輪場に置かれる通勤用自転車
  • 豚肉入りすき焼き用ネギ
  • 冬の北海道旅行専用カバン
  • 移動距離500キロ以上の出張専用ノートPC
  • ダイエット用水泳帽
  • 家庭菜園専用長靴

いくらでも思いつきますね。

北国用かばん
こちらも用途を絞り込んだ分見込顧客数も搾りこまれますが、競合はほぼゼロになるので、上手に絞れば独り勝ちできます。

使い方を変える

「使い方を変える」とは、「楽しみ方を変える」という意味ですが、ちょっとだけ工夫して、お客さんに新たな楽しみを味わってもらえるようにすると、これまた高く売ることができます。

たとえば、

  • 家具や電気製品を「組み立てキット」化する
  • 農家なら「**狩り」みたいな観光農園にする
  • 洋服のデザインをお客さんにさせる

など。
これらは、いずれも、上流工程をお客さんに体験させるようにしています。
オブジェ掃除機
他にも、「捨てるところが無い野菜」「壊れてもオブジェにつかえる掃除機」などのように、下流工程に価値を付加するという方法もあります。

もちろん、相応の努力は必要ですよ。

勘違いしないでください。
必要なのは、お金ではありません「努力」です。

お客さんも喜ぶ値上げの方法は、以下の6個に分類されます。

  • 商品自身が纏っている情報を変える
  • タイミングを変える
  • 場所を変える
  • 顧客を絞り込む
  • 用途を絞り込む
  • 使い方を変える

(一応、5W1H)
今回は、初めの3つです。

商品自身が纏っている情報を変える

何にでも通用するのが、「ブランド(商品群に付けられた名前のこと)を変える」です。

たとえば、
「レクサスなら高くても買う」と言う人はたくさんいます。
たとえ中身がトヨタブランドの車と同じでも・・・(そんなことはないと思いますが)。

店舗なら雰囲気、モノならパッケージ、サービスなら接客などを変えれば「お客様が喜ぶ値上げ」ができます。
それぞれセンスが必要なので、場合によってはお金がかかるかもしれません。

環境、健康、自然、国産なんかも使いやすいキーワードです。
ただし、嘘をついてはいけませんよ。

タイミングを変える

たとえば、農作物なら他の生産者より早く出荷することで単価を上げることができます。
もちろん、早く育てるための工夫は必要です。

電気製品などでも、早くリリースした方が高く売ることができます。
なので、開発競争は熾烈です。
競合商品が出てくればすぐ値下がりするんですが。

それと、
肉牛は長期間買うほど肉がおいしくなるそうです。
でも、飼育期間を謳った牛肉は見たことが無いですね。

夏にスキー、冬に海、なんて言うレジャー施設も昔(今でも?)あった気がします。
が、これはお金をかけ過ぎ、かつ、撤退障壁が高いのでバツです。
こんなチャレンジができるのは、収益予測がゆるい3セク(昔の話?)ぐらいでしょうか。

場所を変える

異次元にトリップしているお客さんが集まっている場所ほど、高く売ることができます。
そして、高くても喜んで買っていきます。

たとえば、
ディズニーランド、お祭り、映画館、リゾートホテル、夏のビーチ、スキー場
などなど。

ミッキーたこ焼き
昔、アルバイトでたこ焼き屋をやっていた、という友達に、
「ディズニーランドでミッキーたこ焼き売ったら絶対もうかるよ」
と薦めたことがあります(もちろん冗談です)。

(今回はここまで)

ときどき、売り上げが思うように伸びなくて「とりあえず値下げ」するお店があります。
当たり前ですが、そんなことで売り上げは上がりません。

一般には、価格と販売数は負の比例関係にあると思われています。これは、大雑把に見れば間違いではありませんが、正確でもありません。

いまどき当たり前かもしれませんが、実際には階段状になるといわれています。

販売数と価格のグラフイメージ
販売数と価格

階段の角は切りのいい価格です。なので、198円とか、9800円とか、切りのいい価格の少し手前で値が付いている商品が多いわけです。

そして、縦軸に販売数ではなく売上高や利益をとると、山がいくつかできる形になります。

売上高と価格のグラフイメージ
売上高と価格

一番高い山の頂点の価格で売るのがベスト、というわけです。
理屈は簡単ですね。

縦軸を利益にすると、価格が高いほど利益率が増えるので、売上高のグラフよりももう少し右上がりになります。

「安く売ればたくさん売れる」と言うのは真実です。
しかし、上で示した通り、「安く売ればもうかる」わけではありません。

ところが、「安くてもいいから売った方がいい」という場合があります。
それは、「売っても売らなくてもコストが同じ」場合です。

相場が落ちるとか、戦略的な価格付けは置いておいて、コンサルタントのような人の時間を売る商売は、基本的に売っても売らなくてもコスト(給料)は同じです。
すると、安くてもどこかで仕事をさせていたほうが会社としては得ということになります。

商品単体の収益だけを考える場合、ポイントは、

  • 安くても売った方が収益が上がる商品なのかどうかを見極めること
  • 価格を動かして(キャンペーンとか何とか言って)適正価格を探ること

です。

極端に単純化すると、理論的には、こういうことになります。
しかし、実際に価格を決める際には、上記のポイントだけでなく、「売り方」が重要な要素になってきます。