帯広市愛国町で農薬も化学肥料も一切使わずに有機野菜を生産している小畑さん。
収穫した野菜のほとんどをあちこちの直売所で自分の手で販売しています。
「雑草を抜くのにも、抜いていいものかどうか考えちゃうんですよ。」
「雑草も、長い目で見れば畑の肥やしですから。」
という小畑さんは、十勝にしては小さい約50aの畑に、50種類もの野菜を育てています。
十勝にしては狭い畑
一本の畝にコンパニオンプランツ (( 一緒に植えると病気や虫の害を受けにくい組み合わせの野菜 )) と呼ばれる野菜を3列植えたり、キャベツの周りにレタスなど何種類かの種を円形に蒔いたりして、面積当たりの収量を上げる工夫や、虫や病気にやられにくい育て方などを日々研究しています。
非常に高密度に植えられた野菜たち
小畑さんへのおもな質問は、
- 農業の面白いところは?
- 農業をやっていて一番つらいことは?
- 新規に農業を始める人に有機農法はお薦めですか?
- 農業を上手にやるためのコツはありますか?
- 大きな声では言えない有機農業の旨みはありますか?
- 大きな声では言えない有機農業の辛いところはありますか?
- 「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
です。
農業の面白いところは?
自分の時間で、自分の好きな野菜を育てる、ことですかね。
自分がやりたかったことをやっているので、どんなことでも楽しくできていますが。
風:好きな野菜というのは?
もちろん、自分が食べたい野菜でもあります。
あまり知られていない野菜を直売所に置いたときに、たまたまその野菜を知っているお客さんが来て、買って行ってくれたときは、うれしいですね。
農業をやっていて一番つらいことは?
自分が良いと思っていた野菜がお客様に評価してもらえないときですかね。
やっぱり、食べ慣れた野菜を買っていくお客様が多いんですよね。
私は、結構マイナーな野菜も育てているのですが、なかなか食べてもらえないです。
小畑さんと十勝ではあまり食卓に上らないカブ
新規に農業を始める人に有機農法はお薦めですか?
お薦めしますね。
初期投資がほとんどないんですよ。
農薬も肥料も使いませんし、畑の中で循環させてますから。
雑草も畑の肥やし
北海道だからできる、というところはあると思います。
風:北海道だと、冬場は作物が取れないと思うのですが。
ハウスのホウレンソウは冬も取れるんですよ。冬場、気温が低くなると、糖度が増して甘くなるんですよね。
だから、ほとんど一年中収穫することはできます。
農業を上手にやるためのコツはありますか?
地域にうまく溶け込むことですね。
農家っていうのは、儲かっていなくても生きていけるんですよ。
赤字じゃ駄目ですけど。
頑張っていれば、隣近所の方々も認めてくれます。
可愛がってもらえるようになることが大切です。
有機農業という話で言えば、風が通るように植えることです。
伸びやすいですし、病気にもなりにくいです。
風が通らずに、湿気が多いと病気になりやすいんですよ。
大きな声では言えない有機農業の旨みはありますか?
葉物野菜は大きくするほど高く売れるんですよ。
スーパーだとサイズが決められているので、たとえば、水菜だと一株が50gぐらいで、大体20円です。
野菜は普通重さで売るので、一株が1kgぐらいになった時に収穫すれば、400円で売れます。
風:大きくすることで味が落ちることはないんですか?
味は落ちないですね。
もちろん、野菜によりますが、規格は関係なしで自分で収穫のタイミングを決められます。
大きな声では言えない有機農業の辛いところはありますか?
有機農法はマイナーなので、大きな声で言えないことがあります。
「化学肥料を使わなければ、農薬もいらなくなるんじゃないか」とか。
「新規に就農するならこれだけはやっておけ」ということはありますか?
自分で何か育ててみることですね。
野菜でも家畜でもいいので。
人の話をどれだけ沢山聞くよりも、一から最後まで自分でやることでいろんなことが分かってきます。
それと、「人に食べさせるもの」を考えてみてほしいですね。
自分で食べるだけなら、それこそ何でもいいじゃないですか。
「人に食べてもらうモノを作る」ということについて考えてほしいです。
風:このネギ、いただきました。他にも、ホウレンソウやチンゲン菜などもいただいてしまいました。ありがとうございました。(小畑さんが着ているTシャツには、「百式」と書かれています。)